山戸さんの新しい本が岩波から出版されたのです。
「祝島のたたかい」と題されたこの新著、読ませていただ
きました。
http://p.tl/91Wy
「祝島のたたかい」山戸貞夫さん著
30年に及ぶ闘いの経緯が緻密な資料を駆使して語られて
います。誰も、否定できない、生の記録がこの本にぎゅっ
と詰まって、非常に資料性の高いものになっています。い
ったいどうやったら祝島のたたかいは30年も持続したの
か、これを読めば解ります。
中国電力がどんないやがらせの文章を送ってきたのか、そ
れにどう対抗したのか、裁判はどうやって起こされ、どん
な経過をたどったのか、阻止行動はどのように進化してい
ったのか、祝島という地域性を超えて普遍的な市民の抵抗
運動へつながるようなヒントも埋め込まれているような気
がします。
電力会社の作戦はいつも分断工作にあります。島の人々が
原発反対を一致団結して貫いたその影にいったいどのよう
な工夫とそして犠牲があったのかもこの本には書かれてい
ます。
私にとって、一番響いたのは、外からの応援が島にとって
どのような意味があったのか、という点です。そこには予
想以上に厳しい意見が書かれていました。
あ〜厳しいなあ、と思ったのですが、30年の島の人々の
言うに言われぬ苦労のディティールを知ると、この本に書
かれている100倍は大変だったのだろうなあ、と想像で
きます。そのような重い、歴史をつまびらかに知る事なし
に軽い事を言えない、とも感じました。
これは私たちに課せられた大きな課題です。福島の人々の
本当の大変さや心の底に押し込めた気持ちを知る事なしに
、外から意見を言ってはいけない、というか、言えないと
思うのです。まずは、耳を傾け、知り、理解し、共振でき
たら、と思います。
その広島での山戸さんとのお話は岩波の「世界」という雑
誌に掲載されることになっています。発行が近づいたらま
たお知らせします。
重い課題をもらって、その後、京都で私の映画をずっと応
援してくれている友人と会いました。彼女にそのことを話
すと
「日本中に「祝島」はある、だから私達は自分自身の「祝
島」のためにたたかいをしなくっちゃねえ」と言うのです
。あ〜本当にそうだな、なんていい事を言ってもらったん
だろう、と重かった心が少し、軽くなりました。人は人と
話しをする時が一番、癒されますね。