THE FUTURE SESSIONS イベントレポート

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6/11に行われたTHE FUTURE SESSIONSのイベントレポートをお届けいたします!

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THE FUTURE SESSIONS開催しました!

6月11日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催されたトークセッション『THE FUTURE SESSIONS』。
「震災後の6年間を振り返り、明日への一歩をどのように進めていくのか」をテーマに、司会に映画監督の鎌仲ひとみさん、ゲストにミュージシャンの後藤正文さん、相馬高校在籍時に演劇を通して発信をしていた蓑野由季さんを迎えて、濃密ながらリラックスした空気の中、トークセッションが行われました。昨年建てられた真新しい富士見ゲート403教室には、ライブ会場のように、会場の半数が10代、20代の若者で埋め尽くされていました。

 会場引き

今回のイベントは三部構成。第一部は3人がそれぞれこの6年間の活動を振り返りました。
被災地に入りながら、自分にできることはないかと模索していた後藤さん。中世の吟遊詩人が、各地を回りながらニュースを伝える役割を果たしていたように、ミュージシャンがニュースを伝えるというのは間違っていないのではと考え、募金やデモではなく「THE FUTURE TIMES」という紙の新聞の取材、編集、発行を始めます。

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後藤さんは「自分は当事者ではないし、誰の気持ちも代弁できない」としながら、「何事も一般化するのがものすごく難しいと思っていて。すごい複雑なことをたった一行で表したりできない、ってこと。複雑なものを複雑なまま受け入れることが一番難しい。それをやんなきゃいけないんじゃないかと思います」 と発信する姿勢について、繰り返し語られました。

蓑野さん
一方、震災当時福島に暮らし、中学3年の卒業式当日だった蓑野さんは、高校に入学し演劇部に入ります。そこで、話しづらかった震災後の思いを同級生から聞き取りながら、演劇「今、伝えたいこと(仮)」の脚本を書き上げていきました。その映像は、多くの参加者に、衝撃も与えました。

「あの子のお父さん居なくなっちゃったんだって、と聞いて、あ、そうなんだ、とか 「最近テレビ見れるようになったよ」って言われて、え、何で?って聞いたら、津波で家流されちゃったからていう風に、カミングアウトが日常的に起こるみたいな状況だった」と当時の生々しい状況を知らせてくれました。

そして、震災後映画『小さき声のカノン』に製作した鎌仲ひとみ監督は、

『選択肢っていう言葉がすごく重要だなって思う。今は選択肢が奪われているんじゃないかな。避難したいっていう人がいれば避難できるというサポートがあるのかどうか、といったら実はないんです。希望した人にちゃんと選択肢が示されるっていうことがやっぱり今、足りないかなあ。』と、6年を経て、より厳しい状況に置かれている避難者についても言及しました。

鎌仲

あっという間に1時間半が経過。休憩に入ると、「THE FUTURE TIMES」の物販に長蛇の列が。Tシャツも、飛ぶように売れていきました。

 

第二部はそれぞれの発信するスタンスについてトークが繰り広げられ、テーマも様々に派生し、会場からの質問と、それに寄り添った答えの中にキーワードもあり・・。大いに盛り上がりました。

 

現役大学生の蓑野さんは、同級生と震災の話や活動の話をしにくいという経験を。後藤さんはミュージシャンが政治の話をすることについて、鎌仲監督は小さな声が繋がりアクションへと動いていく人々の話などなど。
後藤さんは社会的なことに対して発言することについて「憲法に書いてある不断の努力の一環じゃないかな」としながら、「みんな、発言することを高尚なものと思わず、身の丈で言えばいいんじゃないかな」と。

鎌仲監督は、特に多くのミュージシャンが触れてくれた映画「六ヶ所村ラプソディー」の映像を通して、「人はぱかっと善と悪にわけられない。この人も同じなんだなぁ、と思うことが考え続ける材料になるのでは」

 

会場からの質問では、福島出身の女性が、今暮らす東京と、福島の温度差をいろんな場面で感じ、自分の中でいらっとする想いをもてあましている、という発言。これに対して、後藤さんは「書いたりするのは、いいんじゃないですか? でも、人前で表現するのはおしりを丸出しにしてるようなものだから、それくらいの覚悟があったら」鎌仲監督は「思わぬ言葉が飛んできてもあまり真剣に受け止めないで」「そうそう、あ、私おしり丸出しだった、と思えば、そんなに傷つかない」。 後藤さんは「でも、世の中のためだと思って、投げ出すつもりで書けば、私が書くことで誰かが救われるっていう思いで書くんだったら、きっと何かいいことが起こる気がするんだけど」。 このやりとりには、大きな反響がありました。

 質問1

そしていよいよ第3部では、後藤正文さんの弾き語り。いっぱい語っていただいたあとだからこそ、大学の教室で響く生の歌声は違って聞こえ、歌詞のひとつひとつのフレーズも、多くの参加者の心に、トークの内容とともに、忘れられぬものとして染み渡りました。鎌仲監督たっての願いで最後にライブで歌って頂いて、本当によいイベントの締めくくりとなりました。

 

終演後には思いもかけなかった後藤さんの大サイン会となり、帰られる参加者の方々には、満足げないい笑顔が多くみられました。

 

たくさん寄せられたアンケートには、同世代の蓑野さんの自然体な人柄が印象に残った、映像をもっと見てみたいという声。

後藤さんの放ったたくさんのキーワードを書き留めている方も多く、「いいだしっペに積極的になっていきたい」「問いを立て続けたい」という決意も綴られていました。鎌仲監督の作品を観てみたい、上映会を企画したい、支え合うことが自立、保養という選択肢をたくさんの人に知ってもらいたい、というご意見もありました。

 

世代も経験も違う3人のトークセッションと音楽という初めての試みでしたが、とても満足度の高いイベントとなりました。ゲストの後藤さん、蓑野さん、ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました!

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8月3日(木)から10月9日(月・祝)まで渋谷ヒカリエ8階「d47 MUSEUM」にて開催されている
『NIPPONの47人 2017 これからの暮らしかた -Off-Grid Life -』にて『THE FUTURE TIMES』の特別号を発行されているそうです。
是非ご来場ください!
http://www.thefuturetimes.jp/…/no08/special_issue/index.html