内部被ばくを生き抜く

内部被ばくを生き抜く

2012年 ドキュメンタリー映画 80分

まもりたい!未来のために

「内部被ばく」に関しては、低線量の放射線は安全である、に始まって、どんな微量でも身体の中に入った放射性物質は危険である。まで異説、異論がこの世界には存在する。それはまさしくグラデーションのような世界に見える。放射能汚染もまた、まだらなグラデーションを地上に描いている。私は放射能汚染を受けた現場で生きる世界中の人々の取材を通して、データにはならないが、現場には確実に被害を受け苦しんでいる人々がいることを経験した。

そんな現場で実際に被ばくに関する医療活動を継続してきた4人の医師にこれからどう対処していけばいいのか、問いかけることにした。年齢も経歴も違う4人の医師がこれまで内部被ばくに関して積み重ねてきた体験や研究は重なるところもあれば重ならないところもある。内部被ばくの影響は複雑で未知の部分も多い。それでも、この4人の医師の声に耳を傾けることで情報が混乱する中でも、自分にとっての立ち位置を見定めていただきたい。福島・二本松に生き続けることを決めた一家も登場する。現場の声を聞くことをまず一番に大事にしたいと思ったからだ。

暮らし、家族、地域、など生身の人間の未来を配慮することなしに被ばくは語れない。どうやったらこの「内部被ばくの時代」を私たちは生き抜くことができるか、最前線で格闘する人々の声に耳を傾けた。

未知なる危機に備えて

2011年3月に起きた東日本大震災によって原発が4つも爆発してしまった、その後の世界に私たちは生きている。大量の放射性物質が放出され、広範囲に拡散した事は解っているが、ではどれだけ出たのか実は正確な情報がない。放射性物質は環境に溶け込み、生態系に入り込んだ。呼吸や汚染された水・食品を通じて引き起こされる内部被ばくは、この時代に生きる私たち全員の問題となった。
これからいったい何が起きるのか、正確に予測出来る人は実はいない。ただできることはありとあらゆる情報と可能性を吟味して、「命」を守る努力をするということだ。放射能は様々な局面で「命」の脅威となりえる。私たちは生き抜かなければならない、そのためのささやかな助けになればとこの作品を作った。

監督 鎌仲ひとみ

予告篇

作品データ

監督 鎌仲ひとみ
製作・配給 環境テレビトラスト
音楽 Shing02
プロデューサー 小泉修吉
撮影 岩田まき子
編集 青木亮
助監督 澤口佳代
2012年/カラー/デジタル/Hivision80分